『連峰は晴れているか』アニメと小説と
『いまさら翼といわれても』米澤穂信さんの新刊
その内の短編の1つ、『連峰は晴れているか』についてです。
今から2ヶ月前くらいに、古典部シリーズの6冊目『いまさら翼といわれても』が発売されました。前作から6年ぶりの新刊だそうです。
というか、1冊目の『氷菓』は2001年発売なのでずいぶん古典部シリーズ自体が昔の印象です。
僕が原作を読んだのも、アニメを観たからなので。
アニメは2012年放送だったので、この時点でほかの5冊は出ていましたが、アニメの一部の話は他の雑誌に連載されたものが原作で読めませんでした。
『野性時代』っていう雑誌で連載されてたんですけど、
見つからなくて諦めた記憶があります。
それでこの『いまさら翼といわれても』で、アニメ『氷菓』18話の元の話
『連峰は晴れているか』が読むことができました。
この『連峰は晴れているか』の感想になります。
この話はアニメでは1話完結の話なんですけど、古典部シリーズらしさがつまっていると思います。
古典部シリーズらしさっていうのは、高校の古典部という小さな世界で普通の生徒達が大事件でもなく、小さな謎やちょっとした出来事を解決していくところです。
大したことではない、しかし気になります、なんです。
そこに彼らのキャラクターが混ざり合って、ほろ苦さとか儚さが醸し出されるのでは?と思っています。
みんな賢いというか、大人というか、落ち着いています。
放課後の高校とかもはやノスタルジック。
そして、『連峰は晴れているか』の見どころは、
最後のシーン。
えるが奉太郎にどうして今回の先生のことが気になり、わざわざ調べたのか尋ねるところ。
奉太郎の人の気も知らないでっていう感性は高校1年生にしては大人っぽすぎると思いますが、それに対するえるの上手く言えなさが良い。
一体えるは言おうとしたのか。優しい?敏感?神経質?
わかりませんが、ここのシーンがアニメではとても印象的に表現されています。
原作では、奉太郎の一人称になっていて、えるの描写はあまりそっけなく、
何を言おうとしたのか見当もつかないと言っています。
しかし、アニメではなんとも言えないえるの表情が大変に印象的です。
小説ではえると奉太郎の距離感は淡白で、
えるの気になります、の時に近すぎるくらいにしか奉太郎は思ってないようです。
アニメでも恋愛に発展しそうなシーンはほぼないですが、このシーンは
数少ない奉太郎に惚れそうなえるなんじゃないかと勝手に思っています。
アニメでは登場人物の動きを視覚的にみれるので、彼らの距離感がわかりやすい。
登場人物同士の微妙な距離感も切ない。
記憶があいまいですが、アニメでえるの一人称的な台詞が出てきたことはなかったかなと思います。
小説は覚えていません。ないかも?
つまり、える側からの奉太郎への思いはわからないんです。
ここが僕、気になります、なんですけど。
SSなどの二次創作ではえるが奉太郎のことが好きっていう作品が多いんですが、
アニメや小説を探すとそういう描写は少ないです。
アニメは最終話とは少しありますが。
勝手に恋愛視点で読んで盛り上がっております。
嫌いな人もいるかと思いますが、お気に入りのSS置いて終わりにします。
える「奉太郎、大学行きますよ」 奉太郎「うーん……」 : 氷菓 SS