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『アンナ・カレーニナ』 感想

レフ・トルストイアンナ・カレーニナ』を読みました。新潮文庫木村浩訳です。

 

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

 

 

  トルストイといえば、ドストエフスキーと並ぶロシア文学界の巨匠です。彼の作品で特に有名なのが『戦争と平和』、そして『アンナ・カレーニナ』です。私は大学で19世紀のロシア文学という講義を取っていたので、そのために読みました。が、上中下の三巻本、合計1000ページ越えの超大作です。生半可な覚悟で読み始めると死にます。というか、死にました。

 どう死んだかというと、圧倒される文章量、多数の登場人物とその愛称、さらに複雑な人間関係。極めつけは19世紀のロシア貴族の風俗、文化である。

 

 彼の書く重厚な文章、物語、キャラクターはどれをとっても深いです。特に情景、心情描写の書き込みは圧巻である。基本ストーリーは愛のない夫との結婚生活に飽きてきた妻アンナと青年士官ヴロンスキーの愛の物語。そして、農民と生活をともにするリョーヴィンとその妻キチイのもう一方の愛の物語。この2つの物語が絡まりながら、同時進行で進んで行く。アンナとヴロンスキーはその逃避行的愛、世間の目、元夫との離婚、彼との子どもなどさまざまな問題に苦しめられる。そして最後にはその苦痛から逃れるには死しかないと思い至り、列車に身を投げ、残されたヴロンスキーは一人トルコ戦争へと向かう。反対に始めはヴロンスキーに恋していたキチイも、リョーヴィンと幸せを見つけ結婚する。ここでは、喧嘩しつつも田舎での幸せな結婚生活が描かれる。物語の途中で登場人物の声をかり、当時のロシアでの諸問題や愛についてが語られる。

 

 個人的には、世界的名著と言われているが、私には古くさく感じるし、当時のロシアの貴族の生活がわからないため、情景が飲み込みにくい。圧倒的な心情描写は私の読む気力をうばっていた。さらに、アンナに言えば、愛のない結婚をしてはいたが、夫カレーニンは優秀で実直な人物として描かれていたし、彼女には最愛の息子もいた。それなのに、その環境を捨てて、どうなるともわからない青年にすぎないヴロンスキーと駆け落ちのような結果を迎え、さらにはそのヴロンスキーの愛に対してさえ疑いの目を向け自ら破滅に向かうアンナは自分勝手で愚かな女性に見えてしまった。しかし、このアンナと不ロンスキー及びカレーニンの関係と人物評価は男女で、その見方が異なるように感じている。

 

 世界文学に親しみ、教養を深めたり、ロシア史またはロシア文学文化史に興味がある以外に積極的にこの本を手にとるのは難しいかもしれない。特に私のように普段はマンガやライトノベルなどの現代的消費的コンテンツのみに親しみ、小説の奥行きよりもキャラクター小説(主にその登場人物をストーリーよりも重きを置き)として小説を読む者にとっては優先順位はおのずと低くなると思う。とはいえ、魅力的なキャラクターも多数登場し、それぞれの思想や人間関係を詳細に描写するこの『アンナ・カレーニナ』は未だに多数の魅力と新たな読みの可能性があるはずだ。また世界文学やロシア文学を学ぶ上でも外せない一冊であることに変わりなく、後世に残した影響な計り知れない。ロシアの有名文学は長編が多くて、読むのに苦労する。。。